朱唇いま真一文字に初弓

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  • みのる:初弓を「ゆみはじめ」と読ませるのは漢文の書式ですね。初書(かきぞめ)、不言(ものいわず)なども同じたぐいです。弓始め、書き初め…など体言として扱う場合は送り仮名は使わず「弓始」「書初」と書きなさい、「囀りの…」ではなく「囀の…」と書きなさいというようなこだわり派の指導者もいます。作者はこだわり派の指導者に長く学ばれたようです。「朱唇」の措辞は女性であることを暗示するとともに艶っぽさもあるので覚えて使いましょう。 - 2024/05/08(水)
  • 康子:新年の儀式として今年一年の福を願い矢を放つ神事。その厳かな雰囲気をついつい説明したくなりますが、それを「朱唇」「真一文字」と焦点を絞り詠むことの観察力、表現力に感服しました。弓を射る瞬間の静けさ、緊張感も伝わりますし、女性の華やかさ、聡明さも伝わります。射抜きの音や拍手、また弓を射るまでの儀式も想像できます。「弓始」とせず「初弓」とした理由は分かりませんでしたが、むべさんの合評を拝見し「初」の文字によりより新年の雰囲気がより感じられる気がしました。 - 2024/05/08(水)
  • 澄子:中七「真一文字」が秀逸。その一瞬へ向けた極度の緊張感 張り詰めた空気感のようなものを感じます。朱唇から豊かな黒髪を束ね 紺色の袴を着用した佳人を思い浮かべました。神事にも似た清らかさ年始めの厳かさが伝わってきます。その後の的を貫く音まで聞こえてくるような御句のように思いました。 - 2024/05/08(水)
  • かえる:最近たまたま立ち寄った神社に、思いがけず矢場を見かけました。黒袴の若者が芝を掃き清めたり、弓の手入れをしたりする様は浮世離れした美しさだなと思いました。作者もきっと真剣な眼差しの弓乙女に魅了されたのでしょう。真一文字の描写から、的を狙ってぎりぎりと弓を引き絞る乙女の勝ち気な表情が浮かびます。初弓はきっと見事に真ん中を射抜いたのでしょうね。良い年になりそうな予感がこの句に満ちているように感じました。 - 2024/05/07(火)
  • むべ:新年の弓道場の光景でしょうか。朱唇とありますので、弓を引き絞っているその人がおそらく若い女性であろうと推察できます。集中力の必要な力業で、美しい唇がきゅっと閉じているのです。観察している作者も固唾をのんで今しも矢が放たれるのを待っています。「弓始」とせずに「初弓」をゆみはじめと読ませることもできるのですね。「初」という漢字が入っているので、おめでたい雰囲気や年頭の希望なども感じます。季語選びには、単なる音合わせだけでなくどのような漢字をあてるかも重要なのだと思いました。 - 2024/05/07(火)